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十五代目時津風の『悪者扱い』を読んだ

気がついたら大相撲の秋場所が始まっていました。そして、気がついたら2007年に発生した時津風部屋力士暴行死事件の元時津風親方こと山本順一被告の裁判も最高裁が上告を棄却して実刑が確定していました。そんな十五代目時津風の『悪者扱い』を読んでみました。

この本を読み始めた頃は元時津風親方の実刑が確定したことは知りませんでした。本を読み終わって、改めて事件をウィキペディアで確認してみたら実刑が確定したことが書いてありました。8月30日に最高裁の上告棄却の決定が出ていたようです。

『悪者扱い』というタイトルからは元時津風親方がマスコミや世間から今まで、不当な悪者扱いをされてきた事についての反論の意味があることがうかがわれます。しかし、この本を読んでみると、どうもそれは間違いのようでした。元時津風親方は、亡くなった弟子やその家族、リンチを行った弟子、自分をトカゲの尻尾切りの様に解雇した相撲協会、嘘を垂れ流すマスコミ、不当な取り調べを行った警察や検察を「悪者扱い」しているようにしか読み取れません。

元時津風親方は弟子たちにリンチを指示した覚えは全くなく、弟子たちが勝手にリンチを行い死なせたと語っています。オウム事件は教祖の麻原彰晃が首謀したのではなく、弟子たちが勝手に暴走して起こしたものと解釈をしている森達也を思い出してしまいました。元時津風親方は森達也に弁護してもらえば良かったのかもしれません。

人が一人死んでいるのに、ほとんど他人事で、亡くなった弟子やその父親についてけっこう細かくネガティブなエピソードを語っている所は、意識して語ったものなのか非常に疑問が残りました。特に被害弁償について語っている部分は被害者の父親に対する悪意をはっきり感じることができます。

売ることや金儲けしか考えていないマスコミに対する批判はちょっとありがちで、「週刊誌が俺について書いてることは全部嘘だぜ!」みたいな感じで、岡村靖幸かと思いました。

警察と検察の取り調べがまるで刑事ドラマのようだったという話も語ってはいますが、あまり警察官や検察官に具体的なエピソードが出てこないのが残念でした。せめて「いい刑事、悪い刑事」くらいのエピソードくらい語って欲しかったですね。

相撲協会を解雇されて、時津風部屋の後継問題について語っている部分はほとんど弟子に対する愚痴ばかりなのは笑えました。自分が今まで育ててきた弟子について、グチグチと本で語る師匠というのも珍しいですね。時津風部屋を継いだ元時津海についてはリーダーシップがないが、その割に野心家だと語っています。そして、親方株を巡る金の話まで生々しく語っています。誰でも金には執着するものですが、被害弁償や親方株についてボカした様な表現はせずに具体的な金額まで赤裸々に語っているのはかなり凄いと思います。この点は高く評価できます。

この本は大相撲の八百長問題にもかなりの量を割いていますが、ほとんど目新しいものがありません。しかし、最後に外国人力士や学生相撲出身の力士が増えたことが八百長が蔓延した原因と語っています。元時津風親方は中学時代に相撲界に入ったそうです。自己を築い後に相撲界に入るよりも、相撲界に入ってから自己築く(中卒で入門)方がいいと語っています。中卒でも大卒でも外国出身でも、どこで自己を築こうが、人を死なせちゃダメでしょう。八百長は法には触れませんが、過失でも故意でも人を死なせたら法に触れます。

しかし、傷害致死で実刑を受けてここまで開き直った本を出してしまうところが凄いですね。鈴木宗男もホリエモンも収監されていますが、人は死なせたわけではないですからね。

ちなみに両国中学では天龍源一郎と同級生だったそうです。ということは楽太郎の圓楽も両国中の同級生だったということですね。

悪者扱い  十五代目時津風
悪者扱い  十五代目時津風

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