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『スパイの妻』を見た

黒沢清監督、蒼井優主演の『スパイの妻』を見ました。この映画は第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞しています。

黒沢清監督の映画は今まで1本もみたことがありません。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したというのがきっかけで見てみることにしました。

1940年の神戸で貿易会社を経営している福原優作(高橋一生)とその妻、聡子(蒼井優)の物語。優作の会社は戦争の影響は受けていたが順調だった。優作は甥の文雄(坂東龍汰)と満州へ向う。満州で優作と文雄は日本軍による残虐行為を目撃する。文雄は小説を書くため有馬温泉に籠もることになるのだが、しばらくして草壁弘子という女性が殺害され海に浮かんでいるのが発見される。聡子は幼馴染である憲兵隊の津森泰治(東出昌大)に呼び出され草壁弘子は優作と文雄が満州から連れ帰ってきた女性である事を伝えられ、事情を尋ねられる。聡子は自分が知らない優作の顔を泰治から教えられ激しく動揺する。この事件をきっかけに優作と聡子の関係は変わっていくというお話。

NHKのスペシャルドラマとし8Kで撮影されているそうなんですが、IMAXで見た『ダークナイト』のようなパキッと画面の隅々までピントがあっているような画面ではなく、ソフトフォーカスのような全体的にボンヤリしたような画面とほとんどクローズアップがないところが印象的でした。

町山智浩が戦争とか国家の陰謀などは話の本筋ではなく優作と聡子の関係が話の本筋だと解説していました。話が進むに連れて聡子から視点から見た優作、優作の本心届きそうで届かないモヤモヤを聡子と同じような気分を味わうことになりました。

憲兵役の東出昌大は役柄も演技も非常に分かり易く高橋一生とは対象的でした。東出昌大は『菊とギロチン』では大正時代のアナーキストの役をやっていたこともありました。

初めて月面着陸に成功したアポロ11号のニール・アームストロング船長をライアン・ゴズリングが演じた『ファースト・マン』に近いものを感じました。幼い娘を失ったニール・アームストロングは心に傷を負いながらアポロ計画に邁進していくが妻や息子たちとの関係は地球と月の距離よりも遠くなっていく話でした。国家とか大きな背景と非常に個人的な事情を描いていくとが似ているような気がしました。

優作と聡子、文雄は会社の忘年会の余興のために映画を撮っていてこれが入れ子構造と伏線というかどんでん返し的な仕掛けになっているところがお見事でした。

聡子が優作の会社の倉庫に忍び込み金庫から優作が隠し持っている満州で手に入れたノートとフィルムを盗み出すところでチェス盤の駒を倒してしまい、駒を並べ直すシーンがあります。後でチェス盤の駒の配置の違いに優作も気がつくことになります。チェスのことを全く知らないのであのシーンの本当の意味が分かりませんでした。

優作と聡子が映画を見るシーンでは山中貞雄監督の『河内山宗俊』のタイトルが一瞬だけ写り、この映画の中で一番驚きました。残念ながら『河内山宗俊』の本編は写りませんでした。

音楽は東京事変でギターを弾いている浮雲こと長岡亮介が担当していました。

スパイの妻 (講談社文庫) - 行成薫
スパイの妻 (講談社文庫) - 行成薫

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