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『鴈の寺』を見た

角川シネマ有楽町で行われている『若尾文子映画祭 私のすべてを見せてあげる』で川島雄三監督の『鴈の寺』を見ました。1962年公開の作品で4Kリマスター版でした。

時代はおそらく戦中で舞台は京都の禅寺。この寺に襖絵師の岸本南嶽が愛人の里子を連れてやって来て、鴈の襖絵を描いていた。襖絵が完成してしばらくすると南嶽は亡くなり、南嶽の遺言により里子はこの禅寺の和尚である北見慈海の愛人となる。この寺には慈念という小坊主がいて、慈海の身の回りの世話をしていた。慈海は慈念に厳しく当たり、それを見かねた里子は慈念に同情を寄せるのをだが、というお話。

予備知識はほとんど入れずに見ました。4Kリマスター版ということとチラシの画像とキャプションくらいしか読んでいません。鴈の襖絵が次々に入れ替わっていくところにキャスト、スタツフの字幕が重ねられていくところが斬新でしてた。監督が川島雄三というのはここで知りました。川島雄三の映画は『幕末太陽傳』しか見たことはないのですが。

若尾文子が演じる里子は愛人をなりわいとする女。南嶽(中村鴈治郎)との絡みは冒頭のシーンだけで、後はもっぱら慈海(三島雅夫)との絡みとなります。慈海の生臭坊主ぶりが本当にいやらしくてたまりませんでした。禅寺にダブルベッドを入れるところはコントかと思いました。慈海と里子の夜営みを偶然、目撃してしまった慈念が墨を必死にするシーンがオナニーの直接的な比喩に見えて笑えました。

寺の池にいる鯉を鳶が狙っていて、里子は何度か鳶を追い払おとします。慈念は里子に鳶の生体について話すシーンがあり、慈念の話がグロテスクで里子がおぞましさに話を遮るところが妙なエロさを醸し出していました。鳶は慈念の暗喩であることは映画の後半で分かりました。里子が火鉢の火でタバコに火を着けるシーンやベットでタバコを吸うシーンも印象的でした。

後半、慈海が行方不明になり、慈念が檀家の葬式を出すエピソードで、棺桶を墓穴に下ろすと、カメラは墓穴から見上げる構図になりました。これは『キル・ビル』でザ・ブライドがビルとその手下に半殺しにされてビルたちを見上げるシーンやN.W.A.の『Straight Outta Compton』のジャケット写真の構図と同じです。この構図を初めて使った映画や写真が知りたいですね。

鬱屈した寺の小坊主が復讐というかとんでもないことを仕出かす所は三島由紀夫の『金閣寺』みたいだと思って見ていたら、この映画の原作は水上勉の実体験を元にした小説でした。

ラストで急に現代に時間が飛んで、舞台になった禅寺で観光客が拝観しているシーンになったのは『幕末太陽傳』で出来なかったラストシーンをここでやったみたという解釈でいいんのでしょうか?
雁の寺 4Kデジタル修復版 [Blu-ray] - 若尾文子, 木村功, 高見国一, 三島雅夫l 山茶花究, 川島雄三
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