『グリーンブック』を見た

第91回アカデミー賞で作品賞など三部門で受賞したピーター・ファレリー監督、ヴィゴ・モーテンセン主演の『グリーンブック』を見ました。

舞台は1960年代のアメリカ、イタリア系の白人トニー・“リップ”・バレロンガが黒人のピアニストのドクター・ドン・シャーリーに運転手兼ボディーガードとして雇われ人種差別の激しい南部を演奏旅行するというお話。

町山智浩がラジオで紹介しているのを事前に聞いた感じからするとアメリカ版『男はつらいよ』みたいな映画を想像していたら、『男はつらいよ』というよりもその元ネタである落語の『妾馬(八五郎出世)』に近いものを感じました。ヴィゴ・モーテンセン演じるトニーが八五郎でマハーシャラ・アリが演じるドン・シャーリーが殿様という感じですね。トニーが自分の奥さんに宛てた手紙を書いているとドン・シャーリーが手紙を代筆というか添削するシーンは八五郎とご隠居という感じもありました。

二人で車の中でフライドチキンを食べたり、ホテルでトニーがでっかいピザを丸めて食べるシーンなど食べ物に関するシーンが印象的な映画でもありました。初めてフライドチキンを食べるドン・シャーリーの手つきが優雅でエレガントでデリーシャスでした。

そして意外だったのは音楽が鳴り続けていたことです。それもクラッシックやジャズではなく60年代のポップス、R&B、R&RがBGMとしてかかったり、二人の乗る車のカーラジオから流れていました。リトル・リチャードやアレサ・フランクリンなどの有名所は分かりましたが他はほとんど分かりませんでした。大瀧詠一や山下達郎に解説してもらいたくなりました。ちなみにスティーリー・ダンの『グリーンブック』はかかりません。

もちろん人種差別に関する辛いシーンも結構、容赦なく描かれていましす。ドン・シャーリーは演奏会の会場ではVIP扱いなのに、トイレは離れの粗末な有色人種専用の簡易トイレしか使えなかたり、街の酒場にふらっと入っただけで絡まれてボコられたり、夜間に黒人が出歩いていというだけで警官に不当な扱いを受けたり。そういったトラブルをトニーが処理しなが旅は続いていきます。

最後の演奏会を前に会場に併設されているレストラにドン・シャーリーは入ることを断られ、ついに
ドン・シャーリーの堪忍袋の緒が切れ、演奏会をキャセルし、食事をしようと入った黒人の酒場のステージでピアノを弾くシーンでは胸が熱くなりました。

この映画の中でナット・キング・コールが南部で初めて白人の前で歌ったときに白人の暴漢に襲われてステージから引きずれ降ろされたというエピソードがショッキングでした。ジミ・ヘンドリックスが南部をツアーしたときに、既にスターだったのにもかかわらず車の運転をジミヘン自ら買って出たというエピソードを思い出しました。

『ムーンライト』、『シェイプ・オブ・ウォーター』の流れを考えると作品賞受賞は順当のような気がします。今年、作品賞にノミネートされた作品で見たのは『ブラックパンサー』、『ボヘミアン・ラプソディ』、『アリー/ スター誕生』。

あんまり関係ないけど人種隔離政策をやっていたころの南アフリカにサン・シティという白人専用の高級リゾート施設があって、クイーンはそこでライブをやっていました。



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2019-02-27
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