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『百日紅 (下)』を読んだ

杉浦日向子の『百日紅 (下)』を読んでみました。

改めて思うのはアニメ版と漫画は全くの別物ということですな。アニメ版が『寿限無』や『饅頭こわい』だとすると漫画は『野晒し』や『黄金餅』です。でも漫画には『芝浜』的な要素はありません。

こんな面白い漫画があることを教えてくれたことに原恵一やアニメ版を製作したプロダクションIGに感謝です。

『百日紅 (下)』ではアニメ版で取り上げられたエピソードが4つ(『火焔』、『色情』、『離魂病』、『野分』)収録されています。漫画はアニメ版とは全く違う味わいがあります。漫画版では余韻、余白があると言うかあえて全て説明するような無粋なことはしていません。

アニメ版では大きく取り上げられていた北斎の末娘のエピソード『野分』は漫画版ではかなりあっさりとした筆致で描かれています。湿っぽさほとんどありません。

漫画の肝は艶ぽい話ですね。『心中屋』は貸家札が貼ってある明家で血まみれで倒れている若い娘が発見されるシーンから始まります。自殺しようとする娘に若い男が「一緒に心中してやるか一両くれ」という話。娘は血まみれになるが生きていて、男は消えてしまうという摩訶不思議な話。自殺志願の娘と男が出会い、自殺した死体がどんな姿になるかを男が娘に教えるシーンは『死神』で主人公が自殺を考えるけど、その後の無残な姿を想像して思いとどまるシーンを思い出しました。あと『完全自殺マニュアル』なんて本もありましたなぁ。善次郎を訪ねてきた血まみれの娘が「へへッ、きのう心中してきちゃった!」
というラストがたまりません。

善次郎が小塚原の墓場から蘇った女を拾ってくる『仙女』という話も面白いですね。真夜中に出会った時の女は若かったのに夜が明けると汚い婆アになっていたという話。北斎の母親だと語り町内中で借金をして消えるというサゲがまた笑えます。

最近はテレビの時代劇もめっきり減ってしまいました。時代劇と言うとチャンバラというイメージですよね。『水戸黄門』、『遠山の金さん』。映画でも『七人の侍』、『十三人の刺客』とか。侍やチャンバラがない時代劇の映画やドラマと言うと『人情紙風船』、『幕末太陽傳』くらいしか思い出せません。この2つにも侍は出てきますね。見たことはありませんが黒澤明の『赤ひげ』や『どん底』はどうなんでしょうか。

江戸の庶民の姿を描いた時代劇はほとんどないですね。落語があるからか画面が地味になるからなのか?『百日紅』は実写で映像化しても面白いと思うのですが。


百日紅 (下) (杉浦日向子全集 (第4巻))

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