堤真一で実写映画化されることを知った時は正直ショックでした。堤真一はJAC出身で全くダメな感じがしないいい男で、大黒シズオとは正反対のイメージでミスキャストですよね。でもここまでミスキャストだと逆に面白そうですね。見てみたくなりました。娘の鈴子が橋本愛で、市野沢秀一が山田孝之というのは原作のイメージにかなり近いですね。山田孝之がもう少し歳をとっていたらシズオ役でも良かった気もします。
さて、『俺はまだ本気出していないだけ』の4巻目ですが、ナイス! おっさんコメディーというよりも、ナイス! おっさんエレジーという感じがかなり強くなっています。シリアスでけっこう重い展開ばかりで笑えるところは少なめでした。
担当編集者の村上が突然退社してしまい、漫画家デビューの道が閉ざされそうになった中村パーソンこと大黒シズオに新たに19歳年下の宇波綾という女性編集者が担当になることになります。しかし、宇波綾はシズオに対して厳しく、漫画家をあきらめる勇気も必要と諭します。どうする、どうなる中村パーソンことシズオというお話。
シズオとシズオの親友宮田修の中学時代のエピソードもけっこういい話なんですが、ノスタルジックな甘酸っぱいエピソードではなくけっこうハードで単純に「いい話だなぁ~」とは思えないところがたまりません。でも宮田修に「友達でいてくれるかという」言葉に「隣で死んでやるよ」と答える中学時代のシズオは素敵だ、痺れた。その後の宮田修のエピソードがこれまた辛く、不幸の波状攻撃、不幸のスパイラルと言う感じで読んでいてけっこう打ちのめされます。
新たにシズオの担当になる宇波綾の過去について描かれたエピソードもハードで、なぜ宇波綾がシズオに興味を持ったかが分かるようになっています。
この4巻はほとんど笑える所はないと思っていたら、「オマケ aiko様ご来店」は笑えました。シズオがバイトしているハンバーガー・ショップに偶然、シンガー・ソング・ライターのaikoが来店、aikoのファンの鈴子のためにシズオがサインもらう他愛もないエピソードです。しかし、ここまで重い話が続くと、いいアクセントになっています。「サイン協力/aiko」と書かれているのでサインは本物だと思います。aikoはこの漫画のファンなんでしょうか?aikoのツアーパンフレットのためにこのオマケのために描き下ろしされたものだそうです。
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