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『からくり民主主義』を読んだ

高橋秀実の『からくり民主主義』を読んでみました。

読売新聞の『人生案内』でちょっとトボけた回答をしているのを読んで高橋秀実という人を知りました。最近では『タモリ倶楽部』のラジオ体操第3をネタにしたときにゲストとして出演していました。ちょっと渋くてカッコいい感じのオジサンで驚きました。

『からくり民主主義』は2002年に出版された本です。内容はオウムがサティアンを建てたりサリンを作ったりしていた上九一色村、沖縄の基地問題、福井の若狭湾に密集する原発の問題、横山ノックのセクハラ事件、自殺の名所として有名な富士山の青木ヶ原樹海について現地の人たちの生の声を聞いて回ったノンフィクションです。

ハードカバーの本ですが、巻末に村上春樹の解説が収録されています。高橋秀実は事件の現場に脚を運び、現地の人のさまざまの声を丁寧に集めるけど、高橋秀実は弱ったり、困ったり、悩んだりするばかりでハッキリとした結論は出さない。そんな高橋秀実の姿勢を村上春樹は好意的に見ていて、ハッキリとした結論が出ないのが僕らが生きている困った現実の社会だと書いています。

テレビや新聞など大手のマスコミで伝えられニュースを見ていると世の中の問題は善と悪、賛成と反対、キレイに2つに分けられるように思えてきますが、ニュースの現場で当事者や利害関係者の生を聞くと物事はそんなに単純ではなく、利害関係などが複雑に絡み合っていることが改めて分かります。また、大手のマスコミというものは物事をなるべく単純に図式化して見せたがっているようにも勘ぐってみたくもなります。

地震と津波人的ミスで福島第一原発が爆発した後に若狭湾の原発銀座について書いた『危険な日常』を読むと何とも言えない気持ちになります。再稼動した大飯原発の大飯町はこのとき原発事故を想定した防災訓練を一度もやったことがないと書かれています。大飯町はこの当時すでに原発バブルが終わり始めていて、補助金や交付金で建てた箱物をどうやって維持していくかという問題が持ち上がったようです。今回の再稼動はこの辺の事情と絡んでいるのではないかと想像してしまいます。

よく沖縄の基地問題と原発の問題は似ていると言われますが、この本を読むと改めて似ていると思いました。基地や原発が雇用を産むというのは以前から知っていましたが、適度な反対運動が原発推進派や基地容認派にとっても利益に繋がるというのはこの本読んで初めて知りました。

沖縄の人はみんな米軍基地が無くなればいいと思っているわけではなく、軍用地主は米軍基地がなくなると地代が貰えなくなり、昼から酒を飲んで女を抱けなくなるので、基地が無くなることには反対な人も少なくないそうです。米軍基地がなくなったら自衛隊の基地に土地を貸せばいいと言うひともいると書いてありました。

沖縄の米軍基地が減らないのは米軍の極東戦略、日米安保だけではなく基地がなくならると困る沖縄の人も少なくないということを考えると、なかなか問題が解決しないのも当然だと思えてきます。

原発や米軍基地、諫早湾の干拓などには反対運動がつきもので、その反対運動には共産党もつきものみたいです。上九一色村でもオウムに真剣に立ち向かっていたのは共産党だけだったそうです。でもこの本を読むと賛成派と反対派はプロレスのベビーフェイスヒールの関係でお互いに持ちつ持たれつの関係のように見えます。私にはそれが「からくり」に思えました。

富士山の青木ヶ原樹海も「自殺の名所」と報道され、有名になることで観光のPRになると考えている人もいると書かれています。しかし、一斉捜索をやると逆に自殺志願者が増えすぎるので、ほどほどがいいみたいです。地元では自殺者の首吊の死体を「ぶら下がり」と呼び、「ぶら下がり」は樹海の比較的入り口近くで発見されることが多く、ひっそりと人知れずぶら下がっているわけではないそうです。「ぶら下がり」を見つけて通報すると警察の事情聴取が大変なので地元の人は見てみないフリをすることも多いそうです。一度、青木ヶ原樹海に行ってみたいと思っていましたが、ちょっと面倒くさそうです。

この本では統一教会についても書かれていて、この本を読んでいる途中で統一教会の文鮮明が死亡したというニュースを聞きました。最近、駅の近くや街角で文庫本サイズの本を配っているオバサンを見ることが何度かありました。本は文鮮明が書いた本でした。

からくり民主主義

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