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『大相撲改革論』を読んだ

武田頼政の『大相撲改革論』を読んでみました。

今年の大相撲の話題はなんと言ってもついに八百長が発覚したことにつきますね。春場所中止、夏場所は技量審査場所になり、八百長を行なっていた力士は引退勧告が行われ、引退した力士は20人を超えました。

大相撲のテレビ中継はほとんどで見ていませんでしたが、大相撲に関する本は『大相撲改革論』を含めて6冊ほど読みました。

さて、『大相撲改革論』ですが、この本は5つの章から構成されていますが、具体的に大相撲改革について武田頼政が書いているのは最後の第5章だす。

それまでの4章は戦後の大相撲の歩みと大相撲に昔からある八百長の構造と歴史について書かれています。年寄株の問題や大相撲に蔓延している拝金主義体質についても触れています。そして相撲界とそれを取り巻くマスコミについてもけっこう詳しく書かれていたりします。

全体的に流れるのは「昔はよかった」という安易でユルい相撲に対する考え方です。昔の日本人の力士の間で行われていた八百長は「いい八百長」で外国人力士が入ってきてから行われている八百長は「悪い八百長」と取れるように書かれている部分もあります。はっきり言うと千代の富士のやっていた八百長は許せるけど、朝青龍の八百長は許せないというふうに読めます。

舞の海の本を読んだ時も感じましたが、とにかく「昔はよかった」と書いてありますが、相撲界の不祥事は昔からあって、今に始まったことではありません。舞の海や武田頼政はあえて昔の不祥事については取り上げず、良い部分だけスポットライト当てるだけで、実に下手な印象操作です。

もう一つこの本で重要なのは武田頼政が「貴乃花原理主義者」ということです。どうも武田頼政は貴乃花のガチンコ相撲が全て正しくと思っているようです。それ自体は別にかまいませんが、貴乃花が相撲協会の主導権を握れば相撲界が変わると思っているフシがあります。ちょっと、それは短絡的すぎしないかと思います。

ケガをおして土俵に上がった貴乃花が武蔵丸を破って優勝を決め、小泉純一郎が「「痛みに耐えてよく頑張った! 感動したっ!」と叫んだ一番はキレイな言い方をすればある意味「人情相撲」だった気もします。

つまらないガチンコ相撲と上手く演出された八百長相撲とどちらが面白いかというのは議論が分かれるところですが、貴乃花の相撲と同じように千代の富士や朝青龍の相撲にも多くの人が熱狂したのも事実です。

貴乃花の掲げた相撲改革論で「小中一貫の相撲学校の設立」というのが前から気になっていました。春風亭昇太の新作落語『力士の春』を想像してしまいます。やっぱり男子校なのかとか、部活は相撲部しかないのかとか色々と気になります。音楽の時間はやっぱり相撲甚句を歌い、家庭科の時間はちゃんこ鍋の作り方を勉強するんでしょうかね。

ネガティブなことばかり書いてきましたが、トンデモ本的な見方をすれは玉木正之の『「大相撲八百長批判」を嗤う』に匹敵する面白さはあります。

武田頼政の改革案で年六場所行われている本場所を四場所にし、公傷制度復活させ、横綱の降格制度導入というところまでは、まったく新鮮味がありませんでした。しかし、八百長監視システムを作り、アマチュア相撲のコーチを監視役として協力してもらう案は面白かったです。さらに板井圭介にも協力してもらってはどうかとまで書いていました。

武田頼政の随所に光る独特の言語センスにも時々、ハッとさせられることがこの本には何度もありました。横綱を頂点とする八百長のシステムをホストクラブのシャンパンタワーになぞらえたり、外国人力士をブラックバスになぞらえたりする所は週刊誌の中吊り広告的なセンスを感じました。

そして一番凄いと思ったのは「次にまた何か大問題が起きたら、大相撲は廃炉処分となった原発同様、二度と立ち上がることができなくなるでしょう。」という部分です。大相撲と福島第一原発の事故を絡めて語るのはいくら何でも無理がありすぎます。しかし、そこをあえて書いてしまう所にこの本の魅力があります。

ちなみに政府は12月16日にも福島第一原発の「冷温停止状態」を宣言する予定だそうです。完全に廃炉になるにはこの先、何十年もかかります。

大相撲改革論 (廣済堂新書)

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