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『モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1)』を読んだ

郷田マモラの『モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1)』という漫画を読んでみました。私はこの漫画について全く予備知識なしに読みました。郷田マモラの漫画を読むのも今回が初めてです。

物語は渡瀬満の死刑執行のシーンから始まります。しかし、すぐに8年前の新人刑務官、及川直樹がなにわ拘置所への着任のシーンに移ります。死刑囚の世話をする及川直樹の刑務官としての日常に渡瀬満の裁判(そして死刑判決~死刑執行)の過程が絡む形で物語は進んで行きます。

及川直樹と渡瀬満は同い年で、少年時代に野球をやっていたことなど共通が多く、及川直樹は渡瀬満に対して野球をやっていた少年時代も仇討ちを果たした人間としても憧れを抱いているという設定がこの漫画の肝のようです。

死刑制度をモチーフにした漫画なので、堅苦しく、取っ付き難く、死刑制度に反対する特定の政治的なイデオロギーが背景にある漫画かと思いましたが、全くそんな事はありませんでした。主人公の及川直樹というキャラがどこにでもいそうな若者という形で描かれていて、凶悪犯である死刑囚たちに怯えたり、蔑んだり、悩みながら刑務官として成長していく姿が自然に描かれています。死刑囚はみな複数の人を殺している凶悪犯で、回想シーンで人を殺めるシーンが頻繁に出てくるので、グロいシーンが苦手な人にオススメできません。

この漫画で一番驚いたのは死刑囚たちの日常生活です。金があれば雑誌やお菓子を自由に買うことができ、服装も自由なんだそうです。そして、表面的に自分の犯した罪に真摯に向き合って日々被害者にたいして何らかの償いを行なっている死刑囚はわずかと描かれています。死刑囚のほとんどはいつ死刑が執行されるかという恐怖に怯えながらも、けっこう自由に生活しています。自分の犯した罪を悔い改めもしない死刑囚を税金で食べさせてヌクヌク生かしておくのは税金の無駄だからさっさっと刑を執行してしまえという意見も分かります。

仏像の貼り絵を作っている瀬古、被害者に毎日、謝罪の手紙を出し続ける香西という死刑囚も登場します。及川直樹は悔い改めて純粋で清らかな心になった香西の姿に涙を流します。悔い改め、心を入れ替えても被害者の命が戻ることはありません。

及川直樹の恋人として登場する沢崎麻美は駆け出しの社会部の新聞記者。沢崎麻美が及川直樹に関連する事件の取材シーンを描くことで物語がより立体的な進行していきます。渡瀬満の弁護人を務める人権派弁護士、村雨久郎がどんな人物でどういった経緯で渡瀬満の弁護人を引き受けたかについては沢崎麻美の取材のシーンで描かれています。

及川直樹と先輩刑務官が話すシーンや、及川直樹と沢崎麻美のシーンなど説明ゼリフが非常に多いのがこの漫画の特徴です。正直、読んでいて少しクドい感じは否めません。しかし、著者の考えをそのまま押し付けたりする意図はそれほど強くなく、読者に色々と考えさせるような作りなっています。


モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1) (ACTION COMICS)
モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1) (ACTION COMICS)

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