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立川志らくの『落語進化論』を読んだ

志ん朝の席を巡って落語家たちが切磋琢磨していくことと、ドラマ『タイガー&ドラゴン』が放送されたことが落語ブームに繋がったという「まえがき」が衝撃的でした。志らくの説によれば志ん朝の席には現在、談春が収まっているそうです。本寸法、保守本流という感じなんでしょうか。

広瀬和生の『落語評論はなぜ役に立たないのか』とかなり重なる部分が多く、談志が言う所の「江戸の風」を感じさせる落語についてもこの本でも語られていいます。談志は同じ落語会に出ていた柳家喬太郎を噺の途中で高座から下ろしたというエピソードが書かれています。柳家喬太郎、春風亭昇太という落語家の落語はギャグは多く、笑えるけど「江戸の風」が薄いそうです。

広瀬和生は談志が最高の落語評論家と書いていましたが、志らくも他の落語家について語っていたりします。以前、志らくのCDを聞いたときに落語家を鉄道の列車に例えて話していました。柳家小さんはSL、志ん朝はブルートレイン(この時二人とも存命中)、談志は新幹線、小朝はロマンスカー、志の輔はレッドアロー、志らくは自分をジェットコースターと言っていました。ちなみに、教わった落語をそのままやっているような落語家については鉄道ではなく、籠といっていました。

「落ちの進化」や「これぞ古典落語十席」では古典落語についてそれぞれ解説を行ったうえで、志らく流の解釈が加えられています。『井戸の茶碗』について、従来は「正直者が三人揃って生まれた美談」とされているところを「馬鹿正直な人間が三人も集まると、物事はまとまらずハチャメチャになる」という解釈しているところが鋭く、それでいて笑えます。

落語に登場する若旦那、与太郎、ご隠居といったお馴染みのキャラクターについての考察も面白いですね。若旦那は元々『明け烏』に出てくるような堅物で、父親に吉原に行くように仕向けられ事から、吉原にはまり、ついには父親から勘当されて、唐茄子屋や船頭になって、最後は品川の遊郭で居残りをするという噺は最高でした。こんな落語が聞いてみたくなりました。談志の『落語チャンチャカチャン』や喬太郎の『落語の大学』に近いものを感じもしました。

特別付録で『鉄拐』を志らく流にしたものが書いた落語として収録されています。『鉄拐』は上海屋という大店の創立記念日の余興で芸を披露するために、仙界から連れてこられた仙人である鉄拐がなぜか芸能の世界にはまっていてき、俗世にまみれてしまうという噺。私は談志の『ひとり会』のCDで聞いたことがあります。志らくの『鉄拐』は落ちが談志とは違っています。世俗にまみれて、嫌味な奴になり、過去の栄光にすがってばかりいる鉄拐の姿がちょっと弱いような感じもしました。過去の上海屋の余興について語るところで「人魚の活き造り」が行われたという所がスプラッシュじゃなくてスプラッター映画みたいで非常に印象に残りました。唐沢なをきに漫画にしてもらいたですね。

落語進化論 (新潮選書)
落語進化論 (新潮選書)

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