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『血のジレンマ サンデーサイレンスの憂鬱』を読んだ

吉沢譲治の『血のジレンマ サンデーサイレンスの憂鬱』を読んでみました。

確かオークスの週にTBSラジオ『Dig』で藤木TDCが紹介していた本だったと思います。『競馬の血統学―サラブレッドの進化と限界』、『新説 母馬血統学』と読み進めてこの本を読み終わると春競馬はすっかり終わっていました。

今年の春競馬も終わってみればサンデーサイレンスの血が入っている馬ばかりが勝っていました。サンデーサイレンスの血が入っていなかったのはフェブラリーステークスのトランセンドと宝塚記念のアーネストリーくらいでした。ダービーでは出走馬のすべてにサンデーサイレンスの血が入っているというとんでもない状態でした。

『血のジレンマ サンデーサイレンスの憂鬱』では改めてサンデーサイレンスの種牡馬としてのケタ違いの能力を再確認することからスタートし、サンデーサイレンスの後継種牡馬たちの活躍、そしてサンデーサイレンス系の寡占化による弊害の検証、「血の袋小路」から抜け出すため提案という形で進んでいきます。

サンデーサイレンスの種牡馬としての凄さをデータで再検証すると、確かに革命的でケタ違いの能力だったことを感じると同時に今までの日本のリーディングサイアー(ノーザンテースト、パーソロン、テスコボーイ等)とは一体何だったのかと感じてしまいます。今までの日本の種牡馬とサンデーサイレンスの違いについても代用血統の可能性のところで説明されています。

サンデーサイレンス系の寡占化による弊害とは、単純にサンデーサイレンスの血が入った競走馬ばかりが競馬場にあふれるだけでなく、サンデーサイレンス系の種付けができ、海外から優秀な繁殖牝馬を輸入できる資本力のある牧場のみ潤い、それ以外の中小の牧場は疲弊し格差が広まっていくということとこの本には書かれています。

あとがきでは競馬と格差社会をテーマにして書かれたことが明かされています。「格差社会」や「就職氷河期」といった言葉がこの本には時々、出てきますが、正直それほど深刻な印象は感じませんでした。

社台グループが繁栄していくのは、企業努力という裏付けがあるのは分かります。日高や社台以外の牧場がどのくらい疲弊しているかといった点をもう少し詳しく書いて欲しかった気がします。ビワハヤヒデやナリタブライアンを生産したのにもかかわらず潰れてしまった早田牧場についても触れられていて、比較的好意的に書かれています。

重賞未勝利で種牡馬となったディヴァインライトが、フランスに渡っていたという話はこの本で初めてしりました。しかも、産駒のナタゴラが2008年にイギリスで1000ギニーを勝っています。ディヴァインライト自身は現在、トルコで種牡馬生活を続けているそうです。サンデーサイレンスの種牡馬としての能力の高さを改めて感じました。このことからも、サンデーサイレンスの血をもっと海外に広めるべきと書かれています。

日本国内でのサンデーサイレンスの血の飽和状態は進んでいて、状況は「セントサイモンの悲劇」に酷似しているそうです。しかし、繁栄の崩壊は数年で起こるわけではなく、歴史的に見ればあっという間のことでもリアルタイムで生きている者にとっては20年~30年かかるそうです。なので、来年のクラッシックはサンデーサイレンス系の馬をはずして買えば馬券が当たるということはではないので悪しからず。

例えばグランプリボスの父系はテスコボーイで、オルフェーヴルの母系をたどればパーソロンに行き着くことを考えると、確かに10年~20年で簡単に一つの血統が途絶えてしまうことはないことが分かります。そんなことを考えるとサンデーサイレンスの血が途絶えることは考えられない気がしてきます。

それにしても表紙のサンデーサイレンスとイージーゴーアの写真が素晴らしい。白黒の表紙に赤い帯というのもまた憎い。


血のジレンマ―サンデーサイレンスの憂鬱 ( )

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