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唐沢なをきの『まんが極道 4』を読んだ 

生き馬の目を抜く漫画界の実態に鋭く斬り込む唐沢なをきの『まんが極道』の4巻を読んでみました。

この巻の表紙は坊主頭にハナヒゲを生やした褌姿の男。帯には「漫画稼業はガチムチ勝負!!」と書かれています。そういうことで、この巻にはホモ漫画をネタにした『兄貴!』という話が収録されています。タイトルは『兄貴!』ですがホモの親子の話。

ホモ漫画というと「ウホッ! いい男!」でお馴染みの山川純一が2ちゃんでは有名でしたが、『兄貴!』の中の漫画に登場する男はガチ熊系の本当に暑苦しい姿で、お子様が見たら引きつけを起こしそうな感じです。『兄貴!』の登場する息子はアイドルグループの「ガイチューム」に夢中だと言いノンケ偽装をしています。「ガイチューム」が「ディスコ、ディスコ、シロアリ駆除ディスコ」と歌っているところを見ると「ガイチューム」はPerfumeからきているみたいです。

この巻のもうひとつの目玉は唐沢なをきの実際の体験を描いた「いや、そうじゃなくて」です。この話はNHK-BS2で放送されていた『マンガノゲンバ』という番組の取材を唐沢なをきが受けた時の話が元になっています。自分の思い描いた青写真どおりに強引に取材を進めようとする番組ディレクターと、それに困惑する漫画家の姿を描かれています。結局、漫画家が原因不明の腹痛で取材を受けることができなくなり、番組が放送されることもなかったというエンディングを迎え、吹き出しで「めでたし、めでたし」で終わっています。ちなみに唐沢よしこの「あとがき」にはこのエピソードには一切触れていません。

ちょっと売れてきた漫画家の妻が主人公の『漫画家の妻』も面白いです。旦那がちょっと売れっ子になったために、自分にも才能があると勘違いして、エッセイスト、コメンテーター、漫画評論家になったように振舞う漫画の妻の姿が呑気にそして痛々しく描かれています。最後は大御所少女漫画家の迷中マリに罵られた上に殴られ、旦那の漫画も売れなくなり、離婚されてしまうというオチ。唐沢なをきの妻である唐沢よしことこの話に出てくる漫画家の妻の姿がちょっとダブって見えました。唐沢なをきの漫画は単行本で20万分も売れているのでしょうか?

『ごわごわくん』を累計5千万部売った、山本孫太郎虫の転落を前後編の二部に渡って描いた『墜落』も味わい深いものがあります。原稿料や単行本の印税の計算、そしてアシスタントの給料など、漫画家の金にまつわる話がさりげなくリアルに描かれているところに感心というか驚嘆しました。昔、竹熊健太郎が「漫画家というのはページ単価が1万円を超えた人のことで、それ以下の人は千画家という」みたいな事を思い出しました。

その他のエピソードも非常に濃く、ほとんど全てのエピソードがハズレなしの面白さで、漫画家を目指そうとしている人もそうでない人にもお勧めです。


まんが極道 4 (BEAM COMIX)
まんが極道 4 (BEAM COMIX)

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