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『日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~』を読んだ

文芸評論家の絓秀実による萩原健一によるインタビューをまとめた『日本映画[監督・俳優]論』を読んでみました。

この本はタイトルのとおり、萩原健一が関わってきた映画監督、俳優について語ったものです。映画監督については黒澤明、神代辰巳を中心に語られています。萩原健一が黒澤明の映画に出たのは『影武者』一本だけです。黒澤明の映画に出るという事はかなり大変だったようですが、そこで得たものはかなり大きく貴重で、黒澤明、『影武者』に関する話は文句なく面白いものになっています。

神代辰巳との関係は萩原健一にとっては黒澤明と同じかそれ以上に大切なものだったことはこの本や『ショーケン』を読んでいると分かります。しかし、私は神代辰巳の作品を一度も見たことがないため、神代辰巳作品に関する具体的なイメージがほしんど掴めません。機会があれば神代辰巳作品を見てみたいと思います。

この本は映画監督、俳優に焦点を絞ってはいますが、萩原健一自身による自伝『ショーケン』に書かれていた内容と重複する部分が幾つかあります。松田優作や泉谷しげる、市川崑に対する複雑な気持ちはかの本でも繰り返し語られています。萩原健一がこの3人が如何に嫌いかというのがハッキリと分かります。

松田優作がリドリー・スコットの『ブラック・レイン』の出た後、松田優作が出るはずだった映画の話が次々に萩原健一にやって来たエピソードは初めて知りました。この時、松田優作は癌に罹っていて、止む無く断っていたわけですが、萩原健一はそんな事情は知らず、当て付けというか嫌がらせのつもりでやっているのかと感じたそうです。

役者としての沢田研二についてもかなり辛辣な語っているところもこの本の面白いところで、一緒に組んだバンドPYGも、鈴木清順監督で撮った『カポネ大いに泣く』も結局、上手くいかなかったと言っています。

テレビドラマの『前略おふくろ様』で脚本書いた倉本聰についても、ちょっと暴露話というか裏話的な事を語っています。その後、倉本聰との関係には溝ができたと語っています。

この本は映画や俳優について語った話が中心なのですが、私が一番面白く感じたのは60年代のロックシーンについて語ったところです。萩原健一はウッドストックやジミ・ヘンドリックスがギター燃やしたモントレー・ポップ・フェスティバルを生で見ていたそうです。フリーやフェイセズのベースをやっていた山内テツと交流があったことも語っています。そう言えば、『俺の人生どっかおかしい』や『ショーケン』では音楽の話しはそれほど詳しく語られていませんでした。

最終章では絓秀実が萩原健一を軸に、つかこうへい、中上健次といった作家と在日コリアンの問題などについて書いています。「ショーケン」というニックネームは、萩原健一の少年時代の不良仲間に萩原健一の他に2人の「ケン」という名前の仲間がいて、それぞれの体の大きさから、「ダイケン」、「チューケン」、「ショーケン」と呼ばれていたことに由来しています。萩原健一は日本人ですか、他の2人は在日コリアンだったそうです。私は最近、井筒和幸監督の『ガキ帝国』を見ました。この映画で趙方豪が演じる役名が「ケン」で在日コリアンという役柄でした。これは偶然なんでしょうか?萩原健一と井筒監督は、萩原健一の泉谷しげるに対する気持ちを考えると馬が合わなそうな気がしますが。

日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
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