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『共犯者』を読んだ

山崎永幸の『共犯者』を読んでみました。

山崎永幸の『共犯者』と言っても何のことかさっぱり分からないかと思う方もいらっしゃるかと思います。この本は園子温監督の『冷たい熱帯魚』のモチーフとなった埼玉愛犬家愛犬家殺人事件について書かれた本なのです。山崎永幸は関根元の共犯者。『冷たい熱帯魚』では吹越満が演じる社本のことです。

宇多丸さんが『冷たい熱帯魚』をシネマハスラーで扱ったときにもこの本についても触れていました。勢い余って『共犯者』を『冷たい熱帯魚』の原作みたいな形で紹介したために、後で訂正していました。

確かに『共犯者』は『冷たい熱帯魚』の原作と錯覚してしまいそうなほど、『冷たい熱帯魚』は『共犯者』のエッセンスを見事に映像化しているように感じます。それだけに、映画を見る前にこの本を読んでおきたかったという気持ちもあります。

私の中では、この本の中の関根元はでんでんが演じている村田幸雄はほぼイコールに感じられました。関根元の容姿はこの本の中では泉谷しげる似と書かれています。この事件のことはリアルタイムで覚えているし、現在でもネットで関根元の画像は見ることができるので、泉谷しげる似であることは分かっていますが、「子供は元気か?元気が何より」といった関根元の台詞は私の中では今ではどうしてもでんでんの声で再生されてしまいます。

とは言っても映画とこの本は別物で中盤から後半の展開は全く違います。ビジュアル的な部分での大きな違いは関根元の妻、風間博子の容姿ですね。いつもデカイサングラスをかけていて、ほとんど何も喋らない博子は映画の黒沢あすかとは似ても似つかない感じの女で、分り易く言えば北朝鮮の金正日に似た感じの容姿です。しかし、関根元と博子が仲睦まじくヤクザ(映画では弁護士)とその運転手の死体を解体するシーンは映画もこの本も雰囲気が非常によく似ているように感じました。博子が中村美律子の『河内おとこ節』を鼻歌で歌いながら死体を解体するところには何とも言えない不気味さと滑稽さを感じました。

関根元が山崎に語る殺人や死体処理、商売に関する哲学を語るシーンには妙な説得力があり、読んでいて何度か納得してしまいました。特に値段のないモノを、金持ちに売りつけることが商売成功の秘訣と語る部分が印象的でした。関根元は今まで日本に輸入されていなかった犬を輸入することで成功していた時期があるそうです。値段のないモノ、はっきりしないモノを金持ち相手に売りつける商売というと古美術商、画商も同じような商売に見えます。

この本の後半は山崎と検察官の攻防がメインになります。私は北尾トロの裁判傍聴記で山崎が関根元の裁判に証人として出廷したときの様子を読んだことがあります。北尾トロの裁判傍聴記を読んだだけでは、山崎がなぜ法廷でとんでもない態度をとった理由がよく分からなかったのですが、この本を読んでその理由がやっと分かりした。

凶悪な事件などが起こるとワイドショーのコメンテーターや街の声で「全く信じられません!許せないですね」みたいな声が必ず放送されますが、関根元の犯罪や存在は「許す、許さない」の次元を超えていて、私はただ圧倒されるばかりです。

ちょっと不謹慎なことを言わせてもらうと、この前一審で死刑判決が出た秋葉原無差別殺傷事の加藤智大と関根元を比べると、色々な意味で加藤智大には深みやコクがありません。関根元に対抗できる最近の犯罪者としては麻原彰晃こと松本智津夫や林真須美くらいでしょうか?




共犯者 (新潮クライムファイル)
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この記事へのコメント

  • 桑田クン

    私も読みました そんなことが出来るのか?と思いながら… そうしたらもっと凄い福岡監禁殺人、子供まで6人、少し前に江東区のバラバラ事件の星嶋もこの本を読んだのでしょうか?なんて考えてしまいました
    2011年04月09日 18:54

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