なんとなく新書ぽいタイトルの本ですが、ハードカバー、単行本です。著書はスポーツライターで、私は文藝春秋の『Number』や宝島の『競馬読本シリーズ』でこの人の書いたものを何度か読んだことがあります。
今年、世間を騒がせた力士や親方による野球賭博問題を中心に、過去の野球、競馬における八百長事件を交えて賭博と八百長の関係について書かれた本です。この手のタイトルの本にありがちなことですが、野球賭博と八百長はなぜ、なくならないのかについてはっきりとした結論は書かれていません。
基本的に過去の文献を元に著者が考察していく内容で、新たに著者が取材をしたりしているわけではないので、新しい事実が掘り起こされたり、暴露的な内容が書かれていたりすることはありません。全体的に奥歯に物のはさまったような、何かはっきりとした言い方を意図的に避けているような本です。
力士たちがなぜ野球賭博をやるのかという部分では、関取以上の力士は自由になる時間と金が余っているからという理由が書かれていますが、この辺の事情は野球賭博が問題になったときにワイドショーでも報じられていました。
相撲界とヤクザの繋がりについても特に目新しい事はなく、「昭和の大横綱」と言われるような力士の化粧回しに広域暴力団の代紋が描かれていたのは有名な話という記述がありますが、なぜか力士の名前は書かれていません。「巨人、○○、玉子焼き」の力士でしょうか?
メジャーリーグの「ブラックソックス事件」、日本のプロ野球の「黒い霧事件」、中央競馬の「山岡事件」、「サルノキング事件」についても特に目新しいものはありませんでした。昭和30年代から40年代の競馬に関しては寺山修司の競馬エッセイを読むと、もっと詳しく当時の事情が分かります。昔の競馬の怪しい事情を知るにはそっちの方がオススメです。
「サルノキング事件」については事件の当事者である田原成貴の著者『八百長』からも引用していたりします。田原成貴の『八百長』も私は読んだことがあります。確かに「サルノキング事件」の当事者から見方、ジョッキーの視点はかなり興味深いものがありました。しかし、この本では田原成貴の視点や主張をほぼそのままなぞっているだけという感じで、著者の視点がほとんど感じられないのがかなり残念でした。
この本での一番興味深かったのは、一般のファンには八百長相撲とガチンコ相撲を見分けることは不可能ではないかという部分です。それに対して全力投球をしない野球のピッチャーや最後まで追わない競馬のジョッキーは一般のファンでも見れば分かるというような記述もあります。本場所の千秋楽で勝ち越しがかかっている力士の取り組みは非常にわかり易いですよね。カド番で7勝7敗でむかえた朝潮(大ちゃん)や千代大海の強さは今でも記憶に残っています。魁皇と把瑠都の取り組みを見ていると把瑠都も色々と気を使っているのだなということがテレビの画面を通じても感じられますよね。
本場所ではない「大相撲トーナメント」などを見ていても、力が入っていないのは一目瞭然ですよね。あの手の相撲はエキジビションみたいなもだと思うのですが。
野球賭博と言えばメジャーリーグの最多安打記録を持つピート・ローズは野球賭博で永久追放になっていますが、そのことについては全く触れられていないのも残念でした。ピート・ローズの野球賭博について詳しい話が知りたいですねえ。
野球賭博と八百長はなぜ、なくならないのか

この記事へのコメント
対太より誘導されし者
どこがオススメ?
貶してるだけやん!
「巨人、○○、玉子焼き」と奥歯に物のはさまったような 何かはっきりとした言い方を意図的に避けているようなのは?
はっきりとした確証が無いから?
それとも 言わずもがな?
もしかして 著書にならって 笑いをとっているつもり?
そうか 粋な? 諷喩ね!
Ф 々 カワイイこと!
(' Щ ')/
Ξ¥
⊥
Ⅹ