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日垣隆の『秘密とウソと報道』を読んだ

TBSラジオ「アクセス」で以前、藤井誠二が紹介していた本で、面白そうなので読んでみました。 日垣隆の本を読むのは初めてです。

報道の問題点を具体的な取材の方法まで言及した内容が中心の本になっています。新聞社や週刊誌についてのツッコミも目立ちますが、フリーのジャーナリストや作家に対する鋭い指摘もあります。

ツカミとして麻生内閣で女性問題で官房副長官を辞任した鴻池祥肇参議院議員の話題が取り上げられていて、「68歳でもモテる理由こそ知りたいという」という素朴な疑問に私はすっかりこの本に引きこまれました。

明治時代の新聞はどういうものだったという話も非常に面白いものでした。当時の新聞は東スポや今は亡き「噂の真相」よりもキツいスキャダル記事を売り物にしていて、一面に政治家や有名人が囲っている妾の情報を載せていたそうです。しかも、住所入りで。2ちゃんを中心に毎日新聞を変態新聞と叩いていたことがありましたが、昔の新聞の方がえげつないですね。

自らのスキャンダルまで新聞小説のネタにしてしまう島崎藤村の話も強烈でした。学校の授業で習った島崎藤村は文豪という感じですが、この本で書かれている島崎藤村は文豪だけど性格破綻者という感じです。島崎藤村のスキャダラスさに比べると押尾学も酒井法子もまだまだという感じがします。

新聞が書く事件に関する記事は警察発表のコピペで政府広報をそのまま自社の記事として書いているという指摘や新聞記者のぶら下がり取材はストーカーという指摘は笑えますね。それに対して記者クラブせいどについてはそれほど強いツッコミはありませんでした。

スクープを取るために盗みを働いたり警察の内部資料を勝手にコピーしてしまったりした今では高名な作家先生たちの話も面白いですね。山崎朋子、佐木隆三のことなのですが。こういった先生だけでなく、新聞記者や雑誌の記者も70年代後半まで、法に触れるような事やギリギリの事をしてネタを拾っていたそうです。(警察のロッカーに隠れたり、メモを盗んだり)ジャーナリストは遵法精神よりもスクープが優先ということなんでしょうか。

妄想虚言癖男に振り回された週刊新潮や江川招子の話は最初の方はちょっと信じられない感じがしましたが、民主党の永田ガセメール事件のネタ元の西澤孝という男の事を読むと、確かにこういった男が存在することは納得できます

毎日新聞の西山事件も色々な面で興味深い、話でした。この事件が元で毎日新聞は部数を大きく減らしたそうです。事件の内容を単純に再検証するだけでなく、現在の状況(西山太吉記者のその後)についても触れているところが非常に面白いところです。

最近の月刊誌などのあいつぐ休刊については、あまり悲観的ではなく、雑誌というメディアかたちをかえてこの先も続いていくという見解を示しています。

とにかく盛りだくさんな内容で面白い本です。ネットでは「マスゴミ」などという言い方でマスコミを蔑んだり、小林よしのりが新聞やテレビに踊らされるなと言ったりしますが、この本はそんな単純な感情的な煽りのような内容ではなく、事例を丁寧に示したうえで論理的に現在の報道の問題点をユーモアも交えて解説してくれています。


秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)
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