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足立倫行の『悪党の金言』を読んだ

足立倫行の『悪党の金言』を読んでみました。この本は2009年1月号で休刊した『PLAYBOY 日本版』に掲載された足立倫行の『PLAYBOYインタビュー』のベストセレクションだそうです。

インタビューで登場するのは保阪正康、内田樹、佐藤優、森達也、島田裕巳、田中森一、溝口敦、重松清の8人。タイトルの「悪党」とは世の中の大勢に流されず意義を申し立てる者という意味だそうです。ちなみに、佐藤優さんと田中森一は刑事被告人になっています。

私は最近、遅ればせながら佐藤優さんに非常に興味をもちまして、佐藤優さん関連の本を探していたらこの本が見つかり、読んでみたわけです。佐藤優さんのインタビューは期待したとおりと言うか期待以上の面白さでした。従来の左翼とは全く違う視点から憲法9条は断固として堅持すべきという話は面白いですね。憲法改正についての見解も左右の視点と憲法1~8条についての視点を交えることにより、従来とは全く逆の改憲の構図を示しているところは(左翼は改憲で1~8条を改正し共和国をめざす、右翼は護憲で1~8条の堅持する)だまし絵のようなトリックのようでわかり易く面白いですね。

北畠親房の『神皇正統記』から国体について説明しているところも非常に面白いですね。北畠親房は日本は天皇をいただく神の国であり、内在性の中に超越性があるから、自己の原理を他者に押しつけない、宗教や文化について多元主義、寛容の精神を持っていると説いているそうです。戦前の国家神道と全体主義とは全く正反対の考え方ですね。戦前は南朝を正統として足利尊氏を天皇に叛いた逆賊・大悪人と見ていたようですね。『神皇正統記』は陸軍中野学校のテキストにも使われていたそうです。

歴史や政治の話が中心の佐藤優さんのインタビューですが、私生活などにも少しだけ触れている部分もあります。自宅での仕事()の合間には飼っている猫と遊んでいるとか、仕事を終えた後は酒ではなくコーヒーかダイエットペプシを飲むなどの話も面白いですね。日々の食事のカロリー計算も欠かさないようです。猫について語る佐藤優さんも見てみたいところです。

作家の保阪正康のインタビューも非常に面白いですね。この人は昭和史を独自の視点で追っている人で、私は以前に京極夏彦の対談集を読んだ時にこの人を知りました。昭和陸軍の”面子をかけた戦い”という悪しき伝統という話は特に面白いですね。山本五十六の搭乗機撃墜事件に関する海軍と陸軍の責任のなすりつけ合い、証拠隠滅という官僚体質は今の時代にも確実に引き継がれていますね。戦時中には陸・海軍の幕僚たちは会議ばかりやっていたそうです。限られたエリートが密室のなかで情報のキャッチボールを繰り返すうちにいつの間にか、願望が現実と化してしまって、「大丈夫だ」、「絶対に勝つ」となっていったそうだ。願望が現実になるというところは『機動警察パトレイバー2 the Movie』で後藤隊長が会議で警視総監の前で啖呵切った台詞でも同じようなことを言っていた記憶があります。

保阪正康は松下政経塾出身の政治家は機能的右翼とでも呼ぶべき存在と語っているのも興味深いですね。ちなみに民主党には現在23人の松下政経塾出身の政治家がいるそうです。横浜市長や神奈川県知事も松下政経塾出身ですね。

その他のインタビューもどれも面白いものになっています。溝口敦はもっと硬い感じの人かと思っていましたが、いい意味で軽い感じの人のようでした。宗教学者の島田裕巳がいつのまにか復活していたのには驚きました。中沢新一に対する批判が面白いですね。

悪党の金言 (集英社新書 475B)
悪党の金言 (集英社新書 475B)

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