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zoom RSS 三橋貴明の『新世紀のビッグブラザーへ』を読んだ

<<   作成日時 : 2010/05/14 21:25   >>

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参議院選に自民党から比例で立候補する三橋貴明の『新世紀のビッグブラザーへ』を読んでみました。

三橋貴明は2ちゃんに殺害予告が書き込まれたそうですね。幸い書き込みを行った男は自首し、書類送検されたそうです。ニュースになって良かったですね。

『新世紀のビッグブラザーへ』は中国によって朝鮮半島、日本が支配された近未来を舞台にしたデストピア小説です。ジョージ・オーウェルの『1984』を手本にしたようで、この小説の中にも『1984』が出てきたりします。『1984』は映画化もされていましたが、私は小説も映画も見たことはありません。ユーリズミックスが主題歌を歌っていたのは覚えています。

『新世紀のビッグブラザーへ』の肝心の内容ですが、小説、読み物としては残念ながら面白くありません。しかし、トンデモ本として見た場合はそれなりの面白さはあります。

この本が小説としてダメなのは著者の政治的な主張ばかり声高に叫ばれていて、物語的な面白さがほとんど感じられないからです。中国に支配された日本の大学生ススムくんが地下組織「まほろば」のMIKIという少女とネットを通じて出会い、「真実」に目覚め反政府活動をしていくとうお話。非常に乱暴に言うと『ターミネーター』や『マトリクス』みたいな感じです。でもスリルもサスペンスは全くなく、キャラクターに感情移入し、物語の展開にハラハラドキドキすることはほとんどありませんでした。

ススムくんが反政府活動に対する動機づけや行動に移るまでの心の葛藤がほとんど描かれないのが致命的ですな。動機づけとしてはススムくんが人権委員会の査問を受けるエピソードがとりあえずあるのですが、それからMIKIと接触し、反政府活動に関わることに全く躊躇する様子はありません。

面白い映画や小説はたいてい主人公の動機づけの部分や行動を起こすまでの葛藤が上手く表現されています。最近見た『第9地区』なんかもこの部分が上手く出来ていました。さらに『第9地区』では主人公が差別的する側から差別的される側に立場が変わるというところも上手く描かれていました。

支配する側と支配される側が入れ替わった設定の映画としては『猿の惑星』が有名ですね。猿は日本人(有色人種)で人間は白人。原作者のピエール・ブールは第二次世界大戦で日本軍の捕虜になっています。

寓話的な話にすれば普遍性が出てそれなりの小説になったのではと思います。また、この小説は出てくる政治家の名前や地名、通信端末の名前が現実のモノのほんのちょっと変えただけというのがオリジナリティも捻りもなく無残です。三橋貴明という人はあまり映画や小説を見たいり読んだりしたことがないように感じます。

アマゾンのレビューでこの小説をアニメや映画にして欲してという声がありましたが、この小説を映像化するとかなり退屈なものになると思います。『20世紀少年』や『CASSHERN』みたいなものになりそうな気がします。

この小説で一番面白い所は、物語の中に『新世紀のビッグブラザーへ』という本が出てくるところです。著者は三橋貴明ではなくフジサキタカユキになっていますが、これは三橋貴明自身だと思われます。フジサキタカユキは「ウヨク作家」、「差別主義者」とレッテルを貼られてアメリカに亡命したという設定になっています。さらにMIKIはフジサキタカユキの父親ということになっています。しかし、なぜかフジサキタカユキはこの物語には登場しません。ススムくんを助けてはくれません。

この小説のクライマックスがまた凄いことになっています。クライマックスはなんとススムくんとフゥータントゥンのディベート対決しているような形になっています。ススムくんは民族の誇りでフゥータントゥンを沈黙させます。しかし、・・・。

ススムくんの相棒として朝鮮半島から密入国したセミンという男が登場します。この男は「まほろば」のメンバーで親日的です。逆の言い方をすれば自虐的な人間で日本の文化(アニメとなぜか宮藤官九郎)が大好き。そしてセミンは朝鮮半島は千年以上大陸の属国だったから文化がなく、半島の文化はキムチだけと言います。いくら小説の中とは言えこの部分はあまりにも差別的で驚きました。

セミンが日本は文化があって羨ましいというところでは、浮世絵、浄瑠璃、歌舞伎、花魁という江戸文化をあげていますが、なぜか落語をあげてくれません。落語も日本の話芸の一つ。柳家小さんと桂米朝は人間国宝にもなっているのですよ。

人権擁護法や外国人参政権は難しい問題だと思いますが、この小説は「中国は悪の帝国」、韓国や北朝鮮や民主党やその支持団体は中国の手先とレッテルを貼って煽っているだけのような気がしてなりません。単純に他国への憎悪を煽っているようにも見えます。

この小説の主人公のススムくんは三橋貴明や小林よしのりの流すような情報を鵜呑みにしているネット右翼の少年ですね。そしてススムくんは残念ながら使い捨てにされる駒、鐵砲玉といった感じ。

おそらくこの小説を読む人は私のような物好きを除いて、ほとんど三橋貴明のような考えを持つ人だと思います。保守的、右翼的な考えを持たない人が読んでも小説としての出来が良くないので、三橋貴明の考えに染まってく危険性はあまりないと思います。三橋貴明は政治家として支持者を増やしたいならもっと面白い小説をかかなきゃ。トンデモ本ばかり書いてもネタにされるだけですよ。


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